戦略 2018/05/12

例の"メンバー"のニュースを見て気づいたこと


From:藤岡 将貴

僕は、ヤフーニュースを見るのが日課なんですが、最近、あるグループの”メンバー"のニュースをよく見ますよね?僕も彼のグループが出ている日曜夜の番組が好きで、毎週欠かさず見ていたので、それが今まで通り見れなくなってしまうのは、すごく残念です。

で、ヤフーニュースを見ていると、よく「誰々が何々の番組で彼についてコメントした」というふうに書かれているんです。で、そこで坂上忍さんの名前を見かけることが多いんです。僕は彼は俳優という印象でしたが、今やテレビ番組の司会者やコメンテーターとして人気のようですね。最近、彼が司会をしていた番組で「実録!金の事件簿こんな奴らは許さない!」というのがあって、詐欺師とかストーカーとかを追う番組があるんですが、僕はこういうの、つい見てしまうんですよね。「警視庁24時」とか。

でも、ヤフーニュースで発言者として頻繁に取り上げられるということは、彼の発言が影響力を持っている、ということなんだと思うんですが、、、でも、どうして急に、彼がコメンテーターとか司会者としてよくテレビに出るようになったんでしょうか?彼の発言が取り上げられるようになったんでしょうか?(僕が知らないだけで、以前からそうだったのかもしれませんが…)


ある大ヒットした広告の話


これは僕の想像なんですが、それを読み解く、あるアメリカの大ヒットした広告の話があります。これは、200万人の新規のニュースレター会員を集めた広告です。この広告では簡単に言うと、、、

「医者は時として、病気を治す気あるのか?と疑ってしまうことがありますよね?それは、彼らがあなたが病気になれば儲かるビジネスをしているからではありませんか?そうなんです。現在の医療体制は、あなたの治療をするよりも、お金を搾り取ることしか考えていないのです。医者だけではありません。製薬会社と政治家もまた、私腹を肥やすために、あなたの健康に対して陰謀を企てているのです。医者や製薬会社があなたに話したがらないことを、今こそ知る時ではないでしょうか?」

というようなことを言って、読み手の医者や製薬会社に対する「不信感」とそれからくる「怒り」の感情を刺激しています。そして、医療に賢い人になることを勧めて、いろんな正しい情報、医者と製薬会社の真実、自分自身で健康になる方法、を教えてくれるのがこれです…として、ニュースレターを売っています。


アメリカ人は医者や製薬会社に対して怒っている


背景を少しお話ししておくと、日本とは違い、医療保険に強制的に加入させる制度がないアメリカでは、医療費が日本の約2.5倍と、世界一医療費が高く、破産した人の62%が医療費で破産している、とも言われています。だから、医者や製薬会社に対して「不信感」や「怒り」の感情をもっていた人はかなりたくさんいるようなんです。そこへきて、この博士から、こんなことを聞かされたわけです…

僕らは医者に対して病気を治してくれる、健康にしてくれる、という期待を持っていますよね?その期待をものの見事に裏切られたわけですから、その失望とか怒りというのは、相当なものでしょう。

でも、医者には権威があります。僕らも病院に行って医者に対して不満があったり、腑に落ちなかったり、嫌な気分になったりしたとしても、なかなか面と向かって文句は言いにくいですよね?その彼らの口に出せない「怒り」の感情に共感して、声を大にして言えなかったことを、この博士が代弁したことで、200万人もの人がこの広告に反応した、ということなんです。


人は代弁してくれた人に好感をもつ


こんなふうに、人は、自分が思っている不満やいらだち、鬱憤を、なかなか口に出して言えないものです。だから、それを誰かが代弁してくれると「そうだ!そうだ!」というふうにスッキリして、その人に対して好感をもちます。

辛口で知られるマツコ・デラックスさんや有吉弘行さんが人気なのも、ドナルド・トランプがアメリカ大統領選挙で勝ったのも、それが理由だと思います。で、たぶん、坂上忍さんがテレビに頻繁に出演されるのも、同じ理由なんじゃないかと思うんです。ヤフーニュースの彼の発言を見ている限り、他の人ならちょっと言いにくそうなことも、結構、ズバッと言っているんです。出演しているテレビ番組を見ると、結構、声を荒げて感情を出しているんです。発言内容が適切とか的を射ている、とかも、もしかしたらあるのかもしれませんが、、、でも、たぶんその感情を出した歯に衣着せぬ発言がテレビで起用される理由なんだと思うんです。


あなたのビジネスに置き換えて考えると、、


つまり、あなたのビジネスのお客さんが感じている、思っていることで、声を大にして言えないことをあなたが代弁する。そうやってお客さんに共感することで、仲間意識を持ってもらうことができるでしょう。そうすれば、自然と、他の競合ではなく、あなたを選んでもらいやすくなるのではないでしょうか?


カーディーラーの2人の販売員


1つのたとえ話があります。新車の購入を考えているあなたは、奥さんと子どもを連れて車のディーラーに行きました。そこには2人の販売員がいました。1人はお店に入って車を見ていたら、「この車には自動ブレーキがついていますよ。それに、燃費も他に比べたらいいんですよ…」と。

もう1人は、「いやぁ、最近ガソリンの値段高いですよね。うちも子どもがいるんで、休みの日はよく家族で出掛けるんで、ちょっとキツいですよね。でも、知ってました?ガゾリン価格って、本当はもっと下げることができるって。というのもね、ガソリン価格を高騰させている連中がいるらしいんですよ…」と。

あなただったら、どっちの販売員とそのまま話を続けようと思うでしょうか?どっちの販売員の話に興味を持つでしょうか?たぶん、2人目の方じゃないかと思うんです。1人目は、その車の機能や性能を話してきました。2人目は、「子ども」というあなたとの共通点から、ガソリン代が高くてキツい、という話をして、あなたとの共感を得ようとしています。もし、あなたも「ガソリン代がキツい」と思っていたら、少なくとも、価格を高騰させている連中の話を聞きたいとは思いますよね?で、おそらく、その車を買う気があったとしたら、2人目の方から買おうと思うんじゃないでしょうか?

さて、あなたのお客さんはどんな感情を持っているでしょうか?あなたはどうやったらお客さんに共感することができるでしょうか?どうやったら、その感情でお客さんと”つながり"を持つことができるでしょうか?ぜひ、考えてみてはいかがでしょうか??

-藤岡 将貴

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